- ニュース/トピックス 2023/03/15 更新
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2022年11月22日(火)に衆議院第一議員会館にて開催されました、DJW シンポジウム2022へDMG森精機株式会社 R&D執行役員 AM開発部部長 廣野陽子がパネリストとして参加いたしました。こちらのレポートではその内容の一部をご紹介いたします。
本シンポジウムでは、日本とドイツの宇宙産業および関連するテクノロジーの持続可能な発展に焦点を当てて以下の4つのテーマに沿って、パネルディスカッションが開催されました。
●テーマ
- 1. 環境保護とカーボンニュートラル
- 2. 気候・気象の予測、自然災害からの保護と対応
- 3. 宇宙産業以外での宇宙技術の活用と他産業への応用
- 4. 宇宙産業における日独協力の展望
環境保護とカーボンニュートラルに関するDMG森精機の取り組み
工作機械産業は環境負荷を低減する特性を持っており、工作機械自体の性能が向上することで、お客様の生産性が向上すると共に、加工時間短縮によって消費エネルギー(電力や切削油など)の削減につながります。また、再生可能エネルギーやEVに使用される部品の開発にも使用されており、カーボンニュートラルの発展に貢献します
▶DMG森精機のカーボンニュートラル:
https://www.dmgmori.co.jp/corporate/sustainability/esg/environment.html
DMG森精機はグループ全体で調達から出荷までの全工程でカーボンニュートラルを達成しています。2021年には国際的な環境団体「Science Based Targetsイニシアチブ」により、温室効果ガス削減目標の認定を取得いたしました。これはパリ協定に整合した温室効果ガス削減を行う取り組みです。(当社の温室効果ガス排出削減目標:2030年にScope1,2で46.2%削減、Scope3で13.5%削減/2019年比で総量ベースの削減)
▶ニュース/トピックス:SBT(Science Based Targets)認定を取得
https://www.dmgmori.co.jp/trend/detail/id=6069

持続可能な社会に貢献する先端技術「アディティブマニュファクチャリング」
近年、宇宙産業で注目を浴びているアディティブマニュファクチャリング(Additive Manufacturing = AM)では、一から部品を作り上げるだけでなく、修理や補修の用途でも使用することが可能で、廃棄物や消費エネルギーの削減にも貢献しています。
▶アディティブマニュファクチャリングとは
https://www.dmgmori.co.jp/knowledge/category/?type=additive-manufacturing
当社はAMの設計・開発・生産拠点をドイツ、日本、アメリカの三カ国に持ち、グローバルな体制の下、宇宙産業のみならず、その他のさまざまな産業にもこの技術を展開しています。 当社のAM技術も黎明期には宇宙産業のお客様が大きな割合を占めていましたが、近年は宇宙産業以外での導入事例も増えています。
●従来工法からアディティブマニュファクチャリングへ転換することの利点
- 必要な部分のみを造形することで、無駄な切りくずの発生を低減(例:インペラやダイカットロールなど)
- 部品破損時の修理・補修や、軽微なモデルチェンジがあった場合、既存部品を転用することができるため、部品を寿命限界まで使用可能
- 一体型部品を造形することで金型レスを実現し、金型生産のプロセスで発生するエネルギーを削減
- 部品表面に硬度の高い材料をAMでコーティングすることで、
- ① 高周波焼入れのコイルが不要になり、コイル製作において発生するエネルギーを削減
- ② 浸炭・総焼入れ・窒化などのバッチ処理炉が不要になり、窯全体を温度管理するために発生するエネルギーを削減
- ③ メッキ処理が不要になり、メッキ処理後の廃液処理における環境問題の懸念を削減
●アディティブマニュファクチャリング LASERTEC DED hybridシリーズによる工程集約例


宇宙産業は研究開発に継続的な投資が行われており、先端技術が生み出される産業であるとも言えます。宇宙産業で求められる耐久性や軽量化、部品の一体化、表面処理は例えばEV化が進む自動車産業などの他の産業でも必要とされる技術です。
遠い将来かもしれませんが、人が宇宙に住むようになり、宇宙で文化的な生活を送ろうとすると、服を着て、食事をして、ベッドに寝ることになります。これらの物資を生み出すにも工作機械が必要です。
また効率良く多くの物資を生み出すには、工程集約、自動化、DXが鍵となります。工程集約して機械1台で対応できる範囲を増やすことでワンチャック、ワンパレットでの加工が可能となり、自動化がしやすくなり、自動化が進むと機械の稼働率が上がり、加工のさまざまな情報が多く出てくるため、センシング技術を活用してデータを取得する必要性が出てきます。そして集まったビッグデータをAIで分析し、さらなる改善に繋げるというデジタルトランスフォーメーションを起こすのです。
工作機械という分野は、製品の性能を高めることでお客様の生産性向上をサポートし、稼働時間の短縮によりエネルギー削減を達成することができます。
DMG森精機は今後も事業活動に関係するあらゆる観点から、持続可能な社会の実現に貢献いたします。