- 加工のコツ 2019/08/22 更新
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加工コストを低減するためには加工能率を向上させることが必須です。加工能率を高めるためには切削速度を高くする(高周速化する)ことが一つの方法で、現在ではCBNやセラミックス、コーティング工具を使用した加工が主流になりつつあります。
一方、切削速度を高くしたくてもできない加工もあります。たとえば、ドリル加工は切削速度を高くしても中心に向かうほど切削速度は低くなり、チゼル部(中心)では切削速度はゼロになってしまいます。また、タップ加工は切削速度に比例して電気系(制御系)と機械系(駆動系)の誤差が大きくなり、加工精度が悪くなるため切削速度を一定以上高くできません。そのほか、切削工具やワークの剛性が低い場合にも切削速度を高くすることはできません。このようにドリル加工やタップ加工など、一部の加工では切削速度が低い加工が必要な場合があります。
切削速度が低い加工では、切削熱で溶けたワークの一部が切削工具の先端に付着する現象が発生します。切削工具の先端に付着したワークの一部を「溶着または凝着」といいます。溶着は仕上げ面や加工精度を悪くし、工具折損の原因にもなります。したがって、安定した加工を行うためには溶着の発生を抑制することが大切です。
そこで今回の加工のコツでは、弊社で実施した実験結果に基づいて、溶着を抑制する3つのポイントをご紹介します。
①すくい角を大きくする
「すくい角」は切りくずが流れる「すくい面」の傾き角です。図1,2はノンコートの超硬合金ですくい角が0°と20°で加工した様子です。映像から、すくい角が0°では大きな溶着が発生していますが、すくい角20°では溶着が小さいことが分かります。このように、すくい角が大きいほど切りくずが排出されやすくなり、溶着を抑制することができます。ただし、すくい角は大きいほど切れ刃の強度が低下し、欠けやすくなるため注意が必要です。

図1:すくい角0°

図2:すくい角20°
②すくい面の摩擦を小さくする
切削時に発生する切りくずは「すくい面」上を流れ、排出されます。つまり、「すくい面」の摩擦を小さくすると切りくずの排出が良くなり、溶着を抑制することができます。たとえば、すくい面を鏡面研磨した工具では溶着が小さくなります。また、潤滑性の高い切削油剤を使用することや内部給油方式の切削工具を使用することも有効です。
③ワークと不活性な工具材質またはコーティングを使用する
溶着は切削工具の材質がワークと活性(化学反応しやすい)な場合に発生します。このため、切削工具の材質はワークと不活性なもの(化学反応しにくいもの)を使用することで溶着を抑制できます。たとえば、ワークがアルミニウム合金の場合は、ダイヤモンドチップやDLCコーティングが有効です。図3のように、ダイヤモンドチップはすくい角が0°でも溶着が発生しません。また、図4のように、DLCコーティングした切削工具では溶着が発生せず加工できることがわかります。工作物が鉄鋼の場合にはサーメットが有効です。サーメットは鉄と不活性なので溶着を抑制でき、仕上げ加工に適しています。

図3:ダイヤ0°45m

図4
以上、溶着を抑制する方法について紹介しました。従来は①、②で示した原理的な対策が主でしたが、近年では③で示した化学的な対策も有効な対策です。ダイヤモンドチップやDLC、切削油剤は改良が進んでいますので、今後はさらなる溶着の抑制も可能になるでしょう。溶着でお困りの際はぜひ弊社に相談ください。





