- 加工のコツ 2018/03/23 更新
- 印刷する
-
- タグ
-
- 人材教育
- ミーリング加工
水平、直角、平行は形状精度を表す基本要素で、これらのすべてを含んでいる形状が六面体です。このため、六面体はフライス加工の実技練習で必ず題材にされる基礎課題で、六面体を正確につくることができるようになれば、フライス加工の技能は一定に達しているといえるでしょう。今回は、六面体の削り方を例に加工精度を追求するノウハウと考え方についてご紹介したいと思います。
図1.六面体加工
フライス加工では、バイスをテーブルに取り付ける必要がありますが、この作業から既に加工精度への追求が始まっています。バイスは工作物を固定するだけでなく、加工精度の基準としての役割を担っているのです。バイスをテーブルに取り付ける際には、口金の平行(X軸方向)と直角(Z軸方向)、工作物が接する摺動面の水平(Y方向)を確認し、バイスが水平、直角に取り付けられているかどうかを自身の目で確認することが大切です。決して他人任せではいけません。
図2.バイスと軸の関係
そして、正面フライスを使って平面加工を行う際には、通常、X軸方向に削りますが、その理由はご存知でしょうか(=なぜY軸方向に削らないのでしょうか)。それは、X軸とY軸がテーブル駆動のマシニングセンタでは、Y軸の上にはテーブルを支えるサドルが載っている一方、テーブルの上には何も載っていません。つまり、Y軸を動かすよりもX軸を動かしたほうが軽く、運動性能がよいというのが理由です。また、X軸方向に削ることによって、作業者側に切りくずが溜まらず、作業環境を害しないことも理由の一つです。
次に、複数回のツールパスによって工作物の平面を削る場合には、図3に示すように、①往復加工、②一方向加工、③U字型加工の3つのパスが考えられます。
図3.平面切削の3つのバス
①の往復加工はツールパスが短いことが利点ですが、加工方向が変わるため、ツールパスの繋ぎ目に段差が発生しやすくなることが欠点です。これは加工方向が変わることによって切削抵抗の向きも変わるため、主軸の倒れる方向が変わることが主因です。そのため往復加工は加工精度が必要ない荒加工に適しています。
②の一方向加工は、加工方向が変わらないためツールパスの繋ぎ目に段差が発生しにくく、仕上げ加工に適していますが、ツールパスが長くなることが欠点です。
③のU字型加工は、正面フライスが工作物から抜ける箇所が1箇所になるため、大きなバリが出る箇所をコントロールできることが利点です。しかし、①の往復加工と同様に、加工目が変わるため仕上げ加工には向かず、荒加工に適します。
以上、六面体加工を行う際のポイントについて概説しましたが、日頃何気なく、当たり前のように行っている作業にも必ず理屈があります。基準はどこ?切削抵抗のかかる方向は?切りくずはどっちへ飛ぶ?など、その理屈を常に考えて加工精度を追求することが技術を高める上で大切です。こうして地道な努力で高めていく加工精度は、品質・生産性向上に向けたオペレーターの日々の努力や自信の表れといっても過言ではないでしょう。
マシニングセンタやターニングセンタなどNC化が進み、加工作業に人が介入する範囲が狭まったからこそ、段取りや切削条件、ツールパス設定の重要性が高まり、また、加工点を直接見ることができないからこそ、加工現象を想像する力が必要なのです。
なお、具体的な六面体の加工手順は表1のとおりです。加工方法、加工手順、加工条件でお困りの方はDMG森精機までお気軽にお問い合わせください。温故知新による加工プロセスのイノベーションをサポートいたします。
表1.六面体の加工手順
1工程・1面部加工
![]() |
|
2工程・2面部加工
![]() |
|
3工程・4面部加工
![]() |
|
4工程・3面部加工
![]() |
|
5工程・6面部又は5面部加工
![]() |
|
6工程・6面部又は5面部加工
![]() |
バイス締め付け力についても注意が必要である。強く締め付けるためにレンチをハンマーで叩くと口金が倒れ、各面の直角度に影響を与えます。精度を優先する場合、人が締め付けられる力程度に抑える必要がある。 |











