- 加工のコツ 2017/12/08 更新
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従来、タレット式のターニングセンタでは右勝手のバイトを、すくい面を下に向けて取り付け、工作物(主軸)を正転させて加工するのが主でした。これは、すくい面を下に向けることにより切りくずが重力に沿って落下し、切りくず処理が楽だったことが理由です。しかし、時代とともに生産性向上を目的として、切削速度が速くなり、これに比例して切りくずの流出速度も速くなったため、飛散する切りくずがターニングセンタの内装板金を傷つける問題が生じるようになりました。
右勝手のバイトによる加工
そこで近年では、左勝手のバイトを、すくい面を上に向けて取り付け、工作物を逆転して加工するのが主になっています。これはすくい面を上に向けることにより、切りくずを上に飛ばし内装板金を傷つけないこと、インサートを交換する際に作業性が良いこと、削る際に刃先(切削現象)が確認しやすいことが理由です。
このように、歴史的な背景の中でターニングセンタの工作物の回転方向が正転から逆転に変わりましたが、現在では、加工の目的に合わせ、適材適所で主軸の回転方向を使い分けることがノウハウの一つです。
左勝手のバイトによる加工
例えば、
スラント式のターニングセンタでは、右勝手のバイトを、すくい面を下に向けて取り付け、工作物を正転させて削ると、切削抵抗(主分力)が刃物台を引き上げる方向(ガイドから離れる方向)に作用するため、溝切削や切込み深さが大きく、切削抵抗が大きい重切削では加工精度が悪くなることがあります。特に、スラント角度が60°以上のターニングセンタでは、Z軸方向の摺動面が垂直に近くなるため、剛性が低くなり、びびりが発生しやすくなります。
図5.スラント式のターニングセンタのベッド
言い換えると、スラント式のターニングセンタで重切削する場合には、左勝手のバイトを、すくい面を上に向けて取り付け、工作物を逆転で削ることにより、切削抵抗(主分力)が刃物台を押し付ける方向(剛性が高い方向)に作用し、びびりの発生を抑え、安定した加工を行うことができます。(図6)
図6.主分力による刃物台への押しつけイメージ
また、工作物を逆転させて削ることによる利点には次のようなものがあります。例えば、右勝手のバイトを使って、チャックから心押し台に向かって削ることにより、左勝手のバイトが不要になり、汎用旋盤とバイトを共有することができます。また、右勝手の内径切削バイトで外径を削ることもできます。このように、工作物の正転・逆転を使い分けることによって、びびりを抑制し加工精度を向上させるだけでなく、工具数を減らすこともできるのです。
図7.上下の刃物台による同時加工
(下側は右勝手でチャック側から心押しに向かって加工)
このほか、ターニングセンタにおける正転・逆転の使い分けの指針は下記の通りです。
■正転
・外径バイトのすくい面を下向きにし、切りくず排出性を向上させる
・右ねじの加工
■逆転
・外径バイトのすくい面を上向きにし、視認性を向上させる
・ベッドに押し付ける方向でビビリを抑制する
・右勝手端面溝バイトを端面溝ホルダに付ける
・右勝手の外径バイトを引き勝手で加工する
・左ねじの加工
■正転・逆転
・バリ取りのために正転後に逆転させる
・内径工具(又は外径工具)で、内径も外径も加工する。
・工具の勝手を間違えて購入した時
弊社では、上記に示した以外にも正転・逆転を使い分けるノウハウを有し、加工の改善案を提案しています。少しの工夫で加工精度、生産効率を高め、工具集約などの現場改善ができます。ターニングセンタに関する課題をお持ちの方はぜひお問い合わせください。






