- 加工のコツ 2022/02/21 更新
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ダイカスト金型とは、ダイカスト法という加工方法を用いて成形する際に使用する金型です。ダイカスト法は精密な金型の中に、加熱して溶かしたアルミや真鍮などの金属を高圧力で注入し、成型する鋳造方法です。高圧力をかけて成型するため、金型内の隅々まで金属を行きわたらせることができます。これにより、表面が高品位で寸法精度が高く、薄肉で複雑形状のダイカスト製品を成型することができます。また一度金型を製作すれば、短時間のサイクルで連続して鋳造することができるため、大量生産に適していると言われています。
一方でダイカスト製品は、鋳造後の冷却時に起こる体積収縮により、内部応力が発生することで巣や割れが発生しやすくなります。これはダイカスト製品が一般的に引き起こす現象なのですが、ダイカスト金型を冷却しながら鋳造することで防ぐことが可能です。そのためダイカスト金型の内部には、金型の温度を一定に保つための冷却水の配管が設けられています。この冷却配管はドリルで穴をあけて配管経路を作ることが一般的なのですが、複雑形状の成型面に合わせて配管を作るには高い加工技術が必要となり、また段取り替え回数が増えるなど時間が掛かってしまいます。そこで最近では金属積層造形技術(以下、AM技術)を用いて、金型の成形面に沿った冷却配管を作り込む方法が確立されてきています。 今回はこのAM技術を活用したダイカスト金型の冷却配管加工のコツについてご紹介します。
コンフォーマルクーリングチャンネルの製作
成型品の表面形状に沿った形の金型内にある冷却配管のことをコンフォーマルクーリングチャンネルと言います。AM技術を活用することで、複雑形状金型の成形面に合わせた自由な形状の理想的なコンフォーマルクーリングチャンネルを作ることができます。これにより、金型の冷却効率を向上させることができます。
スプリューコアのコンフォーマルクーリングチャンネル


ここで、AM技術について少し説明しましょう。
AM技術を用いた加工方法は近年多くの技術が開発されていますが、ここでは主に3つの方式について説明します。金属粉末をノズルで供給しレーザで溶融させて積層するパウダーノズル方式(DED方式)、金属粉末を敷き詰めた台にレーザを照射して積層するパウダーベッド方式(PBF方式)、そして金属粉末を敷き詰めた台に樹脂を投下して積層するバインダージェット方式です。
コンフォーマルクーリングチャンネルの製作では、PBF方式を採用した事例が多く見られます。これはPBF方式が金型内部に複雑な配管を製作することを得意としているためです。当社でもPBF方式でのコンフォーマルクーリングチャンネル製作の実績がありますが、造形時間が長い、高硬度の金型材の造形が不得意などの課題があり、コンフォーマルクーリングチャンネルの製作には、PBF方式が必ずしも最適ではないと考えられます。では、DED方式を用いたコンフォーマルクーリングチャンネルの製作はどうでしょうか。
主なAM方式

DED方式によるコンフォーマルクーリングチャンネル製作
DED方式は切削加工やPBF方式とは違い、異なる種類の粉末を組み合わせて金型を製造することができます。この技術を活用して、用途に応じて金型の各部分に違う粉末を使用します。例えば冷却回路が通るコア部分(中心)を熱伝導率が高い銅合金で造形し、耐摩耗性や耐腐食性が求められる成形面(表面)には高硬度の工具鋼で造形します。この時に各材料の積層高さを同程度にすること、2種類の材料の境界部に剥離が発生しないように造形条件を最適化することが重要です。当社ではこのノウハウを蓄積しており、お客様にもご提案しています。
このように金型の部分に応じて素材を変更することで、切削やPBF方式で製作したコンフォーマルクーリングチャンネルを持つダイカスト金型と比較して、より高能率、高硬度の金型を製作する事ができます。
コンフォーマルクーリングチャンネル製作の事例
株式会社フジ(埼玉県川口市)ではDMG森精機のLASERTEC 65 DED hybridを活用して、冷却効率を向上させた金型製作に取り組まれています。金型コア部は熱伝導率が高い銅合金を造形するという例を前述していますが、本事例ではコア部形状の切削加工が可能であったため、ブロック材より削り出してコアを作成しています。切削加工のほうが精度、速度には優れるため、形状に応じて造形と切削を使い分ける、または交互に行うことができる点が、LASERTEC 65 DED hybridの特長です。その後、切削加工したコア内にドリル加工で冷却配管を作り、さらにコア上に高硬度金型鋼Ferro55の造形を行い、切削加工で仕上げています。このFerro55は造形のみでも硬度HRC55に達する材料であるため熱処理工程も削減することができます。
シリンダヘッド金型

以上、DED方式AMを活用した冷却配管を有したダイカスト金型加工のコツについて解説いたしました。製造現場では切削加工だけでなく、積層技術も日進月歩で進化しています。弊社では多くの金型加工やAM技術を活用した改善事例の経験があります。従来の加工方法の改善はもちろん、積層造形など新しい加工方法についてお困りの方はぜひお問い合わせください。



