- 世界の逸品 2021/02/10 更新
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スタンダードチャックでワークを把握すると浮き上がりが発生します。また、ソフトジョー(生爪)を脱着すると把握精度が低下するため、再度取付けした後に再成形が必要になります。これらの問題を解決し、把握精度を大幅に向上させた画期的な製品が北川鉄工所の次世代スタンダードチャック「BRシリーズ」とオプションのTナット「Tnut- Plus」です。
高精度 大貫通穴中空パワーチャック「BRシリーズ」開発の背景
標準チャックの基本性能 大幅向上に挑戦
北川鉄工所の既存の標準チャックB-208は、1986年の設計開発から34年が経ち、貫通穴が大きいBB208も1997年開発と約20年以上が経過しています。古い設計ですが、いずれもスタンダードなチャックとして市場での高い評価を受けている現役製品です。これらの製品に加えて、チャックメーカーとして新しい時代に新しい価値を提供するという方針のもと、新しいチャックの開発を始めました。開発にあたっては、マスタージョーの弾性変形を抑えて浮き上がりを小さくすることを考えました。ワークを把握するとウェッジプランジャからの数トンにもおよぶ荷重と、ワークからの把握反力によりマスタージョーに転倒モーメントがかかります。その結果、浮き上がりの原因となる弾性変形が起こります。
マスタージョーのウェッジ部の幅を広くし、把握精度を0.01mmT.I.R.以下に
この問題を解決するには、部品点数が少なく、外径や貫通穴の大きさも制限されているチャックを、いかに部品形状を工夫して性能をアップさせるかが大きな課題となります。そこで、マスタージョーのウェッジ部に着目し、幅を広げてアリ部を支える形状にしました。これにより剛性が高まり、ジョーの浮き上がりが小さくなりました。また剛性が向上して変形しにくくなるとともに、マスタージョーからウェッジプランジャにかかる荷重バランスが改善したことで把握精度が向上。従来機種では把握精度が0.02mm T.I.R.程度でしたが、BRシリーズは0.01mmT.I.R.以下となりました。把握精度が向上することで工程能力が大幅にUPし、工程数の削減や不良率低下、品質向上にもつながり、高精度を要求されるワークにも対応いたします。
お客様の声
- 「使用した実感では、把握精度は0.01mmT.I.R.よりも小さいと感じます」
- 「これまで丸バー材の外径旋削は、1から2工程へ段取り替えが必要なトンボ加工でワークを反転させて加工していました。従来はその都度、振れを測定・調整して2工程にとりかかっていましたが、BRシリーズではこの作業が不要になり、旋削のつなぎ目もほとんど分からなくなりました」
BRシリーズ専用Tナット「Tnut-Plus」
マスタージョーとソフトジョー溝の「すき間ゼロ」を実現

チャックの段取り替え時に必要なソフトジョーの再成形は通常の作業となっており、加工現場では当たり前のようにジョーの再成形をされていると思いますが、そのような常識を覆し、再成形の手間を極力なくす製品が「Tnut-Plus」です。これまでも段取り替え時にジョーの再成形が不要になる製品はありましたが、「Tnut-Plus」は標準BRチャックで標準ソフトジョーが使える製品です。
段取り替え時の再成形が不要に
ソフトジョーの脱着時に把握精度が低下する原因は、「マスタージョー溝とTナットの間」と、「ソフトジョー溝とTナットの間」にすき間が生じ、ガタによりジョーの取付け位置がずれるためです。この問題を解消するため、「Tnut-Plus」はキー部の幅をマスタージョー溝幅やソフトジョー溝幅よりもわずかに大きくしました。また、キー部側面にはヌスミを付け、マスタージョー接触部とソフトジョー接触部は、それぞれ溝方向にずれた位置に配置しています。Tナットのキー部はまっすぐではなく、傾けて挿入します。その状態でボルトを締め付けるとセレーションが噛み合い、ソフトジョーとマスタージョーは強制的に向きが揃います。そして溝よりも大きなキーが強制的にはまり、しっかり固定されて、両方の溝のすき間がゼロになり、ソフトジョーを再度取り付けても、まったく同じ位置を再現できます。
これにより従来、段取り替え時に発生していたソフトジョーの再成形が不要となることで、現場レベルでの無駄を省き、更に熟練した技術者が少ない現場でも安定した品質を保てるようになります。また、低価格で導入できるため、早期にイニシャルコストを回収できるメリットがあります。
お客様の声
- 「半年以上、ソフトジョーを成形していませんが再取付けしても把握精度を維持しています」
- 「ソフトジョーの消耗が極端に少なくなりました」
あらゆる現場で使用用途が広がる「BRシリーズ」+「Tnut-Plus」
現在、BRシリーズは自動車や産業機械業界で多品種少量から中量を生産されているお客様の使用が多く、Tnut-Plusは少ロットで段取り替えが多いお客様が主に使用されています。Tnut-Plusは高度な寸法管理を行っているBRシリーズ専用となっています。オプション商品ですがセットでの使用をおすすめしています。
「BRシリーズ」と「Tnut-Plus」は、あらゆる業種に使用していただけます。また、従来以上に高精度な加工が可能になるため、受注の幅を広げることも夢ではありません。

| 株式会社北川鉄工所 所在地:〒726-8610 広島県府中市元町77-1 URL:https://www.kiw.co.jp/ |
この記事では、DMG森精機が世界中から厳選した逸品機器をご紹介しています。



