- 加工のコツ 2017/07/05 更新
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- 切りくず処理
ものづくりにおいて加工コストの削減は恒久的な課題であり、その改善策に「自動化」と「高能率加工」が挙げられます。自動化と高能率加工は両立することが理想ですが、「言うは易く、行うは難し」で、簡単には実現できません。しかし、高圧クーラントを使用すると、自動化と高能率加工を両立させることができるかもしれません。ここでは、自動化に着眼し、その中での高圧クーラントの働きと動向について解説します。
自動化を阻害する主因の一つに「切りくず」があります。切りくずが長く繋がると、工作物や工具に絡みつくため、人手で切りくずを除去しなければならず、自動化を行うことが難しくなります。
切りくずを細かく分断するためにチップのすくい面には「チップブレーカ」が施されていますが、低炭素鋼やアルミニウム合金など粘り強い材料では、チップブレーカが作用する送り量や切込み深さで削ったとしても、切りくずが分断されず、長く繋がることがあります。
また、ステンレス鋼やチタン合金、インコネルなど難削材と呼ばれる材料では、工具寿命が短くなるため、チップブレーカが作用する送り量や切込み深さで削ることができず、切りくずが繋がってしまいます。逆に、チップブレーカが作用する送り量や切込み深さで削ると、工作機械や工具の剛性不足により、びびりが発生しやすくなります。このように、通常、切りくずの分断はチップブレーカの形状と加工条件で対応されますが、十分な解決に至らないことが多い問題です。
そこで、確実に切りくずを分断する方法として、「高圧クーラント」があります。図1に示すように、すくい面と切りくずの間に圧力の高いクーラントを当てると、クサビ効果により、切りくずを強制的に湾曲させ分断することができます。
図1.高圧クーラントによる切りくず分断の仕組み
図2は弊社で行った高圧クーラントの実験結果です。表から、ステンレス鋼やチタン合金、アルミニウム合金など材質を問わず、圧力が高くなるほど切りくずを細かく分断できることがわかります。これが高圧クーラントの威力なのです。
図2.高圧クーラントによる切りくずの分断効果
高圧クーラントユニットはオプションで、安価ではありません。したがって、従来はチタン合金やインコネルなど付加価値が高く、加工単価が高い加工を行う生産現場で使用されてきました。しかし、近年は圧力や流量を柔軟に制御できる装置が開発され、実験データも増えたことにより、ワークの材質や加工条件に適した「圧力」と「流量」が明らかになってきています。つまり、鉄鋼やステンレス鋼、アルミニウム合金など一般的な素材を扱う加工現場でも高圧クーラントユニットの費用対効果を高めることができるようになっているのです。また、これに併せて、近年はノズルを設けたバイトの種類も増えてきており、導入しやすい環境がますます整ってきています。
これまで「高価なものなので当社には関係ない」と考えられていた方も、加工コスト削減を行うために改めて「高圧クーラント」の費用対効果を検討されてみてはいかがでしょうか。高圧クーラントによる高能率加工については次号で詳しく紹介します。



