- 世界の逸品 2018/05/10 更新
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一般的な旋削加工における切り込み量ごとの割合をみると、3 mm以下のケースが全体の75 %を占めています(図1参照)。しかし3 mm以下の切り込み量に対して、最適なインサートサイズがなく、実際の加工に必要なインサートサイズよりも大きいサイズを使用するケースが多いのではないでしょうか。
この場合、小型のインサートを使用すれば良いのですが、インサートのサイズを小型化すると、インサートの厚み変更による耐欠損性、ブレーカ形状の小型化による切りくず処理性の問題があります。
そこで今回は、こうした問題を解決し、一般的な旋削加工において、標準品インサートと同等の切削能力を発揮するタンガロイのEcoインサート「ISO Eco Turn」をご紹介いたします。
図1.切込み別加工割合(タンガロイ調査による)
一般的なサイズを使うのはもったいない、
しかし小型インサートは欠損性、切りくず処理に課題
1.耐欠損性
一般的にインサートの厚みは、インサートの耐欠損性に大きく影響を及ぼします。そのため、『ISO Eco Turn』では標準インサートと同じ厚みとすることで同等の耐欠損性を維持しています。
標準インサートがCNMG120408 typeとした場合、『ISO Eco Turn』は外郭形状は小さくなっていますが、厚みは変更されていないことが分かります(図2および図3参照)。このインサートの厚みが『ISO Eco Turn』が標準インサートと同等の切削性能を得ることができる重要な要因の一つです。
図2.ISO Eco Turn 技術的特長
図3.ISO Eco Turnと標準サイズ
2.切りくず処理性
インサートサイズを変更する場合、耐欠損性と同様に重要視されるのが切りくず処理性になります。通常、インサートサイズが小さくなるとブレーカ形状も併せて小さくなり、切りくず処理性も変化する場合があります。
しかしながら、『ISO Eco Turn』は切削性能に関与するブレーカ諸元を、切込み3 mm以下のターゲット領域では変更していないため、標準インサートから『ISO Eco Turn』に交換・変更した場合でも、従来と同様の切りくず処理性、切削性能を得ることが可能です。
3.環境負荷低減の実現
『ISO Eco Turn』は、一般的に多く使用されている標準インサートサイズよりも小型のインサートシリーズのため、超硬使用量を削減しています。これにより、世界的にレアメタルや、特に切削工具業界ではタングステンなどの有効利用が叫ばれている中において、『ISO Eco Turn』は環境負荷低減を実現した環境にやさしいインサートシリーズと言えます。また、インサートの体積を大幅に削減することで、一般的に使用されているインサートよりも安価な価格設定が可能となり、生産ラインの工具費低減にもつながります。
インサート材種は、鋼用のCVDタイプのT9100シリーズ、サーメットタイプのNS/GT9530、鋳鉄用のCVDタイプのT5100シリーズ、T515、ステンレス用のCVDタイプのT6100 シリーズ、PVDタイプのAH600シリーズ、難削材/ステンレス用のPVDタイプのAH8000シリーズ、汎用のPVDタイプ AH120があります。
『ISO Eco Turn』は、従来の標準インサートサイズと同様に使用可能で、また、環境にやさしいインサートシリーズであると同時に、お客様の工具費低減に貢献できる経済性に優れたインサートシリーズです。
株式会社タンガロイ 所在地:福島県いわき市好間工業団地11番地1 電話:0120-401-509 お問い合わせフォーム:https://www.tungaloy.com/jp/contact/ |
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