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DMG MORIの開発のおもしろさ、教えてください。レーザ・光学部 レーザ光学プロセスグループ グループ長 工学博士 森 貴則DMG MORIの開発のおもしろさ、教えてください。レーザ・光学部 レーザ光学プロセスグループ グループ長 工学博士 森 貴則

大学・大学院時代の研究テーマは? 大学・大学院時代の研究テーマは?

私が専攻していたのは材料工学。ものづくりのイノベーションの起点ともなる、非常に重要でおもしろい分野です。私はその中でも、たとえば、摩耗しやすい箇所に硬質の被膜を貼る際のコーティング材の研究などを、博士後期課程まで続けていました。
じつはそのころ、研究室の教授あてに、DMG森精機で加工したサンプル品の分析評価の依頼があり、私もそのお手伝いをしていたんです。そのときにはじめてDMG森精機という会社を知り、ご縁があって今に至ります。

現在の業務内容は? 現在の業務内容は?

現在私は、アディティブマニュファクチャリング(以下AM)と呼ばれる、新しい加工方法の研究開発を行っています。AMは、積層造形とも言われ、3Dプリンターを思い浮かべてもらえばイメージが湧くかと思いますが、3Dデータを基に、粉状の金属にレーザを照射して溶かしながら積層し、物体を形成していく技術です。
このAM技術と、従来の切削技術とを統合し、レーザで金属を積層造形した後、直ちに切削加工し、完成品に仕上げるハイブリッド加工機の開発に携わっています。

仕事の醍醐味は? 仕事の醍醐味は?

やはり「誰もやったことがないところに踏み込んでいける」ということに尽きると思います。AMの積層造形は、マシニングセンタをはじめとする従来の工作機械の「切削する」除去加工とは真逆の加工方法で、現在急速に進化している技術です。歴史が浅いため、どんな材料を使ってどう加工すれば、高精度で効率良く造形できるのか、まだまだ確立されていません。手探りで試行錯誤している状態なので、難しいですがその分やりがいにあふれています。大学時代に研究していた材料工学とも深く関わっており、とてもおもしろく、夢中で仕事に没頭しています。

印象に残った業務は? 印象に残った業務は?

2018年に「日本国際工作機械見本市(JIMTOF)」に出展したときのことはとても印象に残っています。JIMTOFは、15万人を超える来場者が訪れる巨大な展示会。世界各国の工作機械メーカーが最先端技術を発表する非常に重要な展示会です。
当社はそこに、徹底的に軽量化した工作機械を出展しました。これまでの工作機械の筐体は、板金などを張り合わせたもので構成されているのですが、私たちは、いらない部分を肉抜きし、中を中空にしてしまう設計に挑みました。そうした設計の筐体の制作は、これまでの除去加工だけでは、製作不可能でした。そこで起用されたのが、私たちが開発していたAM技術です。かつてない複雑な形状だったため、当時はAMの積層造形を駆使しても実現できる保証はありませんでした。しかし私たちは、何度も試行錯誤しながら、なんとか形にすることに成功。展示会では、「DMG森精機は、ついにこんなものまで生み出したか」と、各所から大きな反響をいただくことができました。あのときの達成感は今でも忘れられません。