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世界の逸品

  • 世界の逸品 2024/04/19 更新
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世界の逸品機器 #36
比類なき速度の穴あけ加工を実現!3枚刃・超速ヘッド交換式ドリル「LOGIQ3CHAM」(イスカル株式会社)

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  • 高速加工

 穴あけ加工とボーリング加工。この二つは幅広い分野のワークにおいて加工頻度の高い加工工程であり、場合によっては加工工程の半数以上を占めることもあります。イスカル株式会社は現在主流になりつつあるヘッド交換式ドリルのパイオニアであり、有効刃数2枚刃「SUMO CHAM(スモウカム)」はその代名詞にもなっています。その圧倒的なレパートリーは鋼から耐熱合金、アルミまで幅広く対応し穴あけ加工での第1推奨工具となっていますが、更なる高速加工が必要とのご要望から、イスカル社は新たに超速ヘッド交換式ドリル「LOGIQ3CHAM(ロジックスリーカム)」を開発しました。LOGIQ3CHAMは、有効刃数3枚刃による高速の穴あけ加工を実現する、世界初のヘッド交換式の3枚刃ドリルです。

 

世界初の3枚刃のヘッド交換式ドリルで、通常の2枚刃と比べて生産性を約50%向上

 LOGIQ3CHAMは世界初となるヘッド交換式の3枚刃ドリルです。高い耐久性のドリルボディと耐摩耗性に優れた超硬ヘッドにより、狙ったポイントへ正確かつスムーズに侵入し、ブレのない安定した加工が行えます。
 独自のシンニングにより刃振れを最小限に抑え、曲がりや倒れのない高精度な穴あけ加工を実現します。独創的なデザインの広いチップポケットやフルート溝により、スムーズな切りくず排出を可能としています。さらにR形状をした独自の切れ刃形状により、高い円筒度を実現します。
 LOGIQ3CHAMを用いることで、有効刃数3枚刃によるかつてない速度の穴あけ加工により、一般的な2枚刃のヘッド交換式ドリルと比較して生産性を最大約50%以上も向上することができます。また、一般的な2枚刃と比べて切れ刃とワークの接触時間が短くなり、各刃への負荷が低減。さらに、塑性変形を防ぎ耐熱性を高めるように設計されたポケットによって、厳しい条件下でも長い工具寿命が得られます。

簡単かつ迅速にヘッド交換でき械停止時間を最小限に抑える

 LOGIQ3CHAMの加工径はΦ12 mmからΦ25.9 mmで、交換式のドリルヘッドは0.1 mm飛びのサイズでレパートリーされています。刃先形状は、鋼や鋳物、フェライト系ステンレス鋼やマルテンサイト系ステンレス鋼に対応。刃先処理をシャープにすることで、3枚刃のソリッドドリルにも劣らない切削性能を実現しています。
 LOGIQ3CHAMの魅力の1つは、機上に取り付けたまま誰でもワンタッチでドリルヘッドを交換できる点です。芯高の調節も不要のため、3枚刃のソリッドドリルの刃具の交換時間と比較すると、機械停止時間を格段に短縮できます。
 また、2枚刃のソリッドドリルでは再研磨をして使用するケースが多く、この場合も機械を停止しての脱着作業や芯高の再調整、研磨記録の管理など多くの手間と時間を要します。中には精度調整を簡略化するため常に8割程度の切削条件に落として加工を行っているケースも少なくありません。しかし、ヘッド交換式ドリルLOGIQ3CHAMならば、それらの手間と時間が不要になり、コストを低減すると同時に常に高精度な加工が行えます。

LOGIQ3CHAMの導入で回転送りが6倍になり、大幅なコスト削減を達成した事例も

 LOGIQ3CHAMは、自動車や重機、建機、発電機、電動機など幅広い業界のお客様に使用されています。ここでは実際に生産性が向上したLOGIQ3CHAMの導入事例を紹介します。

導入事例

《事例1:チップ交換式ドリルからLOGIQ3CHAMへの変更》 

 A社様では今まで、チップ交換式ドリルでS50Cに対して、直径20.0 mmの穴あけ加工を行っていました。 LOGIQ3CHAMを導入することで回転送りが約6倍になり、サイクルタイムは約56秒から約23秒へと短縮。工具交換時間は約1/5になり、工具寿命は約2.5倍になりました。また、チップ交換式ドリルを使用していた際はびびりが発生していましたが、LOGIQ3CHAMは3枚刃のため加工バランスが安定し、びびりを抑制できました。生産性が大きく向上し、コスト削減につながりました。

《事例2:2枚刃のヘッド交換式ドリルからLOGIQ3CHAMへの変更》

 B社様では従来、2枚刃のヘッド交換式ドリルでS45Cに対して、穴径14 mm、穴深さ35.6 mmのドリル加工を行っていました。LOGIQ3CHAMを導入することで回転送り・切削速度が約2倍になり、サイクルタイムは約284秒から約145秒に短縮できました。工具寿命も約2倍になっています。生産性向上と大幅なコスト削減が叶いました。

《事例3:2枚刃のソリッドドリルからLOGIQ3CHAMへの変更》

 C社様ではこれまで、2枚刃のソリッドドリルでFCD450に対して、穴径17.5 mm、穴深さ71 mmの貫通穴あけ加工を行っていました。LOGIQ3CHAMの導入によりサイクルタイムは約32秒から約6秒に短縮されました。従来は約2,000穴で工具交換が必要でしたがLOGIQ3CHAMは約7,000穴の加工を行うまで交換不要で、工具寿命は約3.5倍となっています。サイクルタイムの大幅な短縮や工具交換作業の削減により、劇的な生産性向上が叶いました。

比類なき切削工具「LOGIQ3CHAM」を生み出したイスカル社の金型技術

 「超速」とも呼べる比類なき速度で生産性向上に寄与するLOGIQ3CHAMは、まさに夢の切削工具です。この製品はイスカル社の多彩かつ優れた技術と独創的な発想力の結晶と言えます。
 一般的に3枚刃になると2枚刃よりも芯厚が薄くなり、工具自体の剛性がなくなってしまいます。そのためLOGIQ3CHAMのような3枚刃のヘッド交換式ドリルは実現不可能だと考えられてきました。しかしイスカル社はコンセプトの段階から諦めることなく開発を続け、ボディの素材や研磨の技術、ヘッドの形状、切りくずがスムーズに処理できるポケットやフルート溝の形状、取り付け方法、効率的な冷却を実現するための内部クーラントなどあらゆる部分に対して何度もリファインをかけながら7年以上もの歳月を費やしてLOGIQ3CHAMを完成させました。
 その複雑な形状を高い精度で実現できた理由は、イスカル社が他の追随を許さない優れた金型技術を有しているからです。そのため、3枚刃のヘッド交換式ドリルは現在、LOGIQ3CHAMが世界初であり、ただ一つの選択肢です。

LOGIQ3CHAMの性能を最大限発揮する優れた剛性の製品ラインアップ

 
INH 63
DMU 50 3rd Generation

 LOGIQ3CHAMを使用する際にポイントとなるのは、工作機械やクランプなどの剛性です。剛性の高い機械でLOGIQ3CHAMを用いると、非常に高い生産性の向上とコスト削減が見込まれます。つまり、優れた剛性を有するDMG MORIの工作機械と組み合わせることで、LOGIQ3CHAMが持つ高い性能を最大限発揮できます。
※LOGIQ3CHAMは、BT40以上の機械での使用が推奨されています。

"Where Innovation Never Stops!"をスローガンに、年間売上額の約4%を継続的に研究開発に充て、革新的な切削工具を生み出し続けるイスカル社

ISCAR R&D センター
 

 イスカル社は、イスラエルに本社を構える超硬切削工具メーカーです。独創的な発想と高い技術力で画期的な製品を数多く生み出しています。イスカル社の切削工具は、医療産業や自動車産業、エネルギー産業、航空機産業や精密機械産業など幅広い分野で用いられており、世界第2位のマーケットシェアを誇っています。韓国のテグテック社やアメリカ/ドイツのインガソル社、日本のタンガロイ社など世界各国の有力工具メーカー15社で形成される切削工具メーカーグループIMC(International Metalworking Companies)も、イスカル社が中核をなしています。
 イスカル社の最大の強みは、付加価値製品と、それを生み出す研究開発力です。年間の売上額の約4%を継続的に研究開発費に充てており、"Where Innovation Never Stops!"(限りない技術革新に挑戦)をスローガンとして常に新製品を開発しています。実際に年間売上の約40%を新製品・プロジェクトの売上が占めています。世界60カ国に拠点を持ち、日本における販売拠点としてイスカルジャパン株式会社が設立されています。

イスカルジャパン株式会社
所在地:〒560-0082 大阪府豊中市新千里東町1-5-3千里朝日阪急ビル20F
電話:06-6835-5471

この記事では、DMG森精機が世界中から厳選した逸品機器をご紹介しています。

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