Press Release
DMG MORI SAILING TEAM
新艇「DMG MORI GLOBAL ONE」で初のレース出場
フルクルーオフショアレース「The Ocean Race Atlantic」に挑戦
DMG MORI SAILING TEAM(以下、チーム)は、7月に完成したばかりの新艇「DMG MORI GLOBAL ONE」にて、新たな章の幕開けとなる「The Ocean Race Atlantic」に参戦します。米国・ニューヨークからフランス・ロリアンまでを競うこのスプリントレースでは、異なる世代の5艇を相手に、世界各国から集まった経験豊富なセーラーたちと競い合います。このレースでは、日本の白石 康次郎選手を中心に、フランスのニコラ・ルンヴェン選手、英国のサマンサ・デイヴィス選手、若手日本人セーラーの守屋 有紗選手(同レースに出場する初のアジア人女性)、そしてオンボードリポーターのアンヌ・ボージェ氏で新たな国際チームを構成します。
今回のレースでは「実戦を通じて学ぶ」機会とし、造船設計家ギヨーム・ヴェルディエ氏が設計した革新的な新艇が秘めるポテンシャルを引き出していくことを目指しています。
新艇の初戦として、もっと穏やかな道を選ぶこともできました。数時間程度の短いレースから実戦経験を積んだり、新艇のセッティングを煮詰めながら、初めて共に戦うクルーとして徐々に連携を深めていくこともできました。しかし、外洋への憧れ、そして何よりも、未知の領域へ挑戦しようという強い思いが、DMG MORI SAILING TEAMを突き動かしました。白石 康次郎選手が語るように、チームは「家族のように共に困難に向き合いながら学び、成長する」機会として、この大きな挑戦を選びました。
7月の進水からわずか2か月余りで、新艇「DMG MORI GLOBAL ONE」は9月1日、ニューヨークを出航し、「The Ocean Race Atlantic」の第1回大会に参戦します。本レースでは、北大西洋を横断してフランス・ロリアンを目指します。日本人スキッパーの白石 康次郎選手は、「2027年1月にスタートするクルー参加型世界一周レースに向けた、実戦における最適な試金石です。この新艇の開発に2年以上を費やしてきた私たちにとって、その成果を試す絶好の機会となります」と語ります。なお、白石選手はこれまでに2度のVendée Globe完走(ソロレース)を果たしていますが、IMOCAクラスでのクルー参加レースは今回が初挑戦となります。
「最高の実践相手」
北大西洋を吹き抜ける低気圧に後押しされながら、「DMG MORI GLOBAL ONE」のクルーは実戦で初めてタックを重ね、3,000マイルを超える航海を通じて、このレーシングプロトタイプを磨き上げるための本格的な調整作業に取り組みます。サマンサ・デイヴィス選手は、「目的は、チーム全員で学び、共に成長することです。自分たちの強みと弱みを明確に把握したいと考えています」と語ります。また、「素晴らしいチームとともに、この新たな挑戦に臨めることをとても楽しみにしています」と期待を寄せています。
「私たちは回航と、その後の約3週間にわたる集中的な準備期間を含め、この1か月間を共に過ごしてきました」と語るのは、4度のVendée Globe出場経験を持ち、来年には3度目となるクルー参加型世界一周レースに挑むサマンサ・デイヴィス選手です。「このような環境の中で活動できることは素晴らしい機会です。チームは非常に結束力が高く、一人ひとりの感覚やフィードバックに真摯に耳を傾けています。そのため、新しいアイデアを試す余地が大いにあります。IMOCAクラスの進化に貢献するこのような艇の開発に携われることは、セーラーとして大きな喜びです。個人的にも、これまでの常識や感覚を見直し、艇の挙動を感じ取りながら、同時にエンジニアの視点で考えることが求められます。時には適切なセールトリムのために、これまで慣れ親しんできた方法とは正反対のことをしなければならない場合もあります。本当に興味深い経験です。」
米国への大西洋横断回航を終えた新艇に対する第一印象は、非常に有望なものとなっています。「この艇は、格好の実戦相手になりそうです」と笑顔で語るのは、2024年のVendée Globeで6位に入賞し、その後3度目となるSolitaire du Figaro(ソリテール・デュ・フィガロ)優勝を果たしたニコラ・ルンヴェン選手です。「この艇には安心感があります。建造品質は極めて高く、操船への反応も非常に素直です。また、他のIMOCAよりもスムーズに波を越えていきます。前向きに評価できる点が数多くあります。ダウンウインドではかなり扱いやすい印象もあり、実際のライバル艇との競争の中で、その性能を試すのが楽しみです。」
「スタートラインに並ぶ2艇の最新世代IMOCA」
ギヨーム・ヴェルディエ氏が設計した最新IMOCA「DMG MORI GLOBAL ONE」の実戦デビューには、大きな注目が集まっています。というのも、「The Ocean Race Atlantic」には、ボリス・ヘアマン選手の新世代艇「Malizia 4」も出場する予定だからです。フリートに加わった2艇の新世代IMOCAは、IMOCAサーキットの実力艇との比較を通じて、その実力を測る貴重な機会を得ることになります。対戦相手には、2025年の「The Ocean Race Europe」優勝艇を擁するポール・メイヤ選手、フランチェスカ・クラプチッチ選手の「11th Hour」、そしてスイスのジュスティーヌ・メトロー選手のもとで4年間にわたり鍛え上げられた後、現在はオリバー・ヒーア選手が操る一世代前ながら完成度の高いIMOCAなどが名を連ねています。
「競争は非常に熾烈なものになるでしょう」と語るのは白石 康次郎選手です。「DMG MORI GLOBAL ONE」のホームポートであるロリアンには、先頭集団のIMOCAが9月8日頃に到着すると見込まれています。「現在のクルーは、すでに私の期待を上回っています。チームとしての一体感が日に日に高まっているのを感じますし、私自身も彼らから毎日学んでいます。チーム全員が非常に高い知性と細やかな気配りを持っており、そのことが艇の性能を最大限に引き出そうという自信につながっています。」
また、その思いは、チーム最年少となる30歳の守屋 有紗選手にも共有されています。日本セーリング界の新星として注目される守屋選手は、男女同数の乗員編成が義務付けられた本レースで、IMOCAクラスのレースデビューを果たします。「白石さん、サム、そしてニコラは、もちろん卓越したセーラーですが、それ以上に素晴らしい人たちです。このようなメンバーと一緒にセーリングできる機会を得られたことは大変光栄です。この経験から一つでも多くのことを学び、自分の持てる力をすべて発揮したいと思っています」と守屋選手は語ります。2027年のThe Ocean Raceへの出場が、彼女の夢のひとつです。
「幸いなことに、おどけた表情は万国共通です」
「フランス人、日本人、そして紅茶をこよなく愛するイギリス人女性。クルー構成だけを見ると、少し複雑に思えるかもしれません」と、サマンサ・デイヴィス選手は笑いながら語ります。「でも実際には、それこそがこのチームの強みです。お互いに、より丁寧なコミュニケーションを心がけるようになるからです。それに正直なところ、IMOCAの船上はとても騒がしいので、そもそも会話をする機会はそれほど多くありません。幸いにも、ジェスチャーやおどけた表情は世界共通ですからね。」
また、この記念すべき初挑戦において船上リポーターを務めるアンヌ・ボージェ氏には、まさにこうしたチームの一体感を伝える役割が期待されています。同氏は2023年のThe Ocean Raceおよび2025年のThe Ocean Race Europeも取材しています。「この役割に再び戻れることをとても楽しみにしています。The Ocean Raceは私が大好きなレースです。艇の操船には関わらなくても、クルーの一員として完全にチームに溶け込むことができます。ライブ配信やドローンによるリアルタイム映像など、大会の発信手法は進化を続けており、それ自体が大きな挑戦でもあります」と、この経験豊富なフォトグラファーは語ります。なお、今回が自身にとって初めての西から東への大西洋横断航海となります。「参戦艇数は多くないため、それぞれのチームが持つ個性をしっかりと伝えることができます。船上で生まれるチームワークや相乗効果を発見し、それを発信できることを楽しみにしています。特に、この新艇には大きな注目が集まっています。比較的閉鎖的なコックピットから、どのように海や景色の魅力を伝えていくかはこれからの挑戦ですが、鋭い観察眼を持つニコラや、海にいることを心から楽しむサムと再び一緒に仕事ができること、そして白石選手や守屋選手をさらに知ることができるのを楽しみにしています。」
「DMG MORI GLOBAL ONE」にとって、北大西洋横断は厳しく、多くの困難が待ち受ける挑戦となるでしょう。しかし、だからこそ、このレースには大きな意味があります。「この挑戦は、新たなスタートになるでしょう」とニコラ・ルンヴェン選手は語ります。これに対し、白石 康次郎選手は「成長する子どもを急かしてはいけません。一歩ずつ前に進みながら、常にさらに高い目標を目指していくことが大切です。」と語っています。
▼ The Ocean Race Atlanticレース概要
| 開催期間 | 2026年9月1日~9月10日頃 |
|---|---|
| 開催コース | 米国・ニューヨーク~フランス・ロリアン(約3,000マイル) |
| 大会公式HP | https://www.theoceanrace.com/en/atlantic/2026 |
| 出場艇数 | 6チーム |
| DMG MORI SAILING TEAM参加クルー | 白石 康次郎選手、ニコラ・ルンヴェン選手、サマンサ・デイヴィス選手、守屋 有紗選手、アンヌ・ボージェ氏(オンボードリポーター) |
大西洋を横断するThe Ocean Race Atlanticレースのコース
(大会公式HPより)
The Ocean Race Atlanticに出場するメンバー
後列左から順にニコラ・ルンヴェン選手、白石 康次郎選手、
前列左から順にサマンサ・デイヴィス選手、守屋 有紗選手、アンヌ・ボージェ氏
新艇DMG MORI GLOBAL ONE
以上