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2025/9/22 更新

「Boulangere Mini Transat 2025」に挑戦
アレクサンドル・デゥマンジュと國米創が初めての大西洋横断

 DMG MORI SAILING ACADEMY(以下、アカデミー)のチームメイトであるアレクサンドル・デゥマンジュと 國米 創(こくまい はじめ)は、2024年と2025年のシーズンを通じてフランスのロリアンにて、共にトレーニングを積み重ねてきました。今、彼らは9月21日に開催された「Boulangere Mini Transat(ブーランジェール・ミニ・トランザット)」で、プロトタイプ艇による初めての単独大西洋横断レースに挑戦しています。このレースは、全長6.50メートルの小型ヨットで、陸との連絡や支援も一切なく、完全に単独で大西洋を横断する唯一のレースです。

◆次世代の外洋セーラーを育成

 アカデミーは、次世代の国際的な外洋セーラーを育成し、このスポーツを若い才能に広めることを目的に設立されました。技術トレーニング、メンターシップ、実地経験を組み合わせ、プロセーラーへの道を提供しています。アレクサンドル・デゥマンジュ(フランス人セーラー、エンジニア)と國米創(日本人セーラー)は、ロリアン・グラン・ラージュのトレーニング施設のサポートを受けて準備を進めました。

アレクサンドル・デゥマンジュについて

 アカデミーの設計部門で2年間エンジニアとして勤務。2024年にはレ・サーブル・ドロンヌ出身のスキッパーとして数々の表彰台を獲得し、5位以下になることはありませんでした。2025年シーズンも好調で、「Plastimo Lorient Mini 2025(プラスティモ・ロリアン・ミニ)」のダブルハンドレースでタイス・ル・カムとペアを組み、2位を獲得しました。タイスはこのレースにおいて手強いライバルとなるでしょう。その後も彼は表彰台を外すことなく、素晴らしい成績を維持し続けています。

◆レ・サーブル・ドロンヌに向かう直前の数日間について

 到着時にボートの準備が万全であるように、技術面、体力面、精神面すべてに全力で取り組む必要があると自分に言い聞かせています。

◆メンタルコーチとのトレーニングについて

 自分に合うメンタルコーチを見つけるのは簡単ではありませんでした。なぜなら私の話を聞いてくれる人を探さなければならず、それは非常に主観的なことだからです。私に合う人を見つけるまでに、かなり時間がかかりました。そして現在私はメンタルコーチであるナビル・エジャジと週1回トレーニングをしています。彼はジムも 経営しているので、メンタルとフィジカル両方のトレーニングプランを作成できました。今年は両者のつながりを強く感じています。

◆人生を変える経験について

 夜中2時、ラズ・ド・セアンとペンマックの間で25ノットの風、3メートルの波の中、漁具に衝突しました。この 状況を打破する唯一の解決策は、ボートにしがみつきながら冷たい海に飛び込むことだけでした。水は凍える ほど冷たく、裸でハーネスとヘッドランプだけを身に着けて海に飛び込み、漁具を外しました。ボートが復元し、キールが風下に向いたとき、波の衝撃で船体が前方に押し出されました。しかし私にはボートにつながっていたロープを引き上げる力はなく、永遠に感じる時間、引きずられ続けました。本当に命の危険を感じましたが、レースを完走しました。その2週間後には別のレースがあり、それにも出場して優勝しました。私は、自分自身を振り落とした馬に再び乗る必要があったのです。そこから本当に多くのことを学びました。特に、海で一人でいる人間が学ぶ「謙虚さの価値」を知りました。

國米創について

 日本とハワイで育ち、2022年にフランスへ渡り外洋レースを学び、2025年には「Mini Fastnet(ミニ・ ファストネット)」で7位入賞など成長を遂げました。

◆初めてのMini Transatについて

 初めてのMini Transatで少し緊張していますが、同時にとてもワクワクしています。これまでの人生やキャリアで経験したことのない不思議な感覚です。素晴らしい冒険になることを期待しています。2020年にレースの詳細を聞きました。大西洋横断は夢ですが、夢はなかなか叶わないので不思議な気持ちです。

◆アレクサンドルとのチームについて

 アレクサンドルがいなければ準備できませんでした。なぜなら彼はこのボートとレースの準備を本当に助けてくれたからです。私たちはチームですが、同時にライバルでもあります。

◆船上でのお気に入りの主食について

 船上での主食はご飯やチリコンカンです。そしてイワシやツナ缶も食べます。


LA BOULANGERE MINI TRANSAT 2025について

  • 参加スキッパー          : 90名
  • 総航行距離               : 4,050 海里(約7,500.60 km)
  • レース期間                     : 約4週間
  • フランス人以外のスキッパー  : 30%
  • 女性スキッパー         : 15%
 Mini Transat 6.50は1977年に英国人セーラーのボブ・サロモンによって創設されてから48年が経過し、 外洋セーリング史の重要なレースとなりました。サロモンは、ヨットが大型化し、資金力のないセーラーが競技から排除されている状況を憂い、誰もが挑戦できる本格的なレースを企画しました。このレースの核となる価値は 「シンプルさと謙虚さ」。その象徴が、船体の長さを6.50メートルに制限するルールです。このレースはアマチュアから現役・未来のチャンピオンまで幅広いスキッパーが参加し、すべての参加者にとって「大西洋を横断する夢」であり、「小さな船でひとり海に向き合う孤独な挑戦」でもあります。船・海・風・太陽と最も調和し、睡眠・渇き・空腹を管理できたセーラーが、フランス領西インド諸島サン・フランソワに最初に到着する可能性が高まります。船は34艇のプロトタイプと56艇の量産艇で構成され、9月21日にレ・サーブル・ドロンヌを出発。
カナリア諸島ラ・パルマに向かい、最初の到着は9月29日頃。10月25日に最終区間が始まり、 サン・フランソワへの到着は11月4日以降となります。

以上