ホーム > 投資家情報 > 経営方針・戦略 > 社長インタビュー

社長インタビュー

2020年度の総括

2020年度は、春先からのCOVID-19の拡大による経済環境の急激な変化に晒され、その危機への対応力を試される年となりました。2008年の金融危機においては、経済変動への対応に遅れ、営業損失269億円、当期損失346億円を計上しました。しかし、今回2020年の危機においては、外出規制などの制約はあったものの、世界43カ国137拠点に分散した直販・直サービス体制が十分に機能し、さらにデジタル化も進めていたことから、お客様のサポートを継続することができました。マーケティングにおいては、デジタルツインショールームの開設により当社の高速・高精度の5軸加工機、複合加工機、フルターンキー技術へのアクセスの利便性を図り、少人数によるテクノロジーフライデーのリアルの見学会や、商談など、新たな手法も生まれました。また、コスト削減にも早期に着手し損益分岐点を大きく引き下げたことにより、営業利益107億円、当期利益17億円と、黒字を確保することができました。
当社の使命は、産業の根幹をなすグローバルな既存のお客様15万件と潜在のお客様15万件の生産維持・向上に努めることであり、その役割を担うことができたと確信しています。また、今回の環境変化を受けて、お客様は工程集約、自動化、デジタル化への関心をいっそう高められ、当社の取り組みに対する評価がますます高まるものと期待しています。
世界的に気候変動への対応意識が高まりつつある中、当社は業界に先駆けて部材調達から出荷までの全工程(Scope 3の上流工程)までのカーボンニュートラルの製品を2021年の1月から出荷しはじめました。経済環境の変化への柔軟な対応力、お客様のニーズへの対応力、社会からの要請への対応力が確認でき、今後の持続的成長への経営基盤がより強固なものになったと考えています。

2020年度決算概要

2018年後半からの米中貿易摩擦の影響に加え、2020年のCOVID-19の感染拡大により、工作機械需要は大きく減少しました。当社においては、連結受注が2,797億円と2019年度に比べ31.7%減少し、機械本体の期末受注残高も960億円と同34.2%減(500億円減)となりました。受注の減少に伴い、売上収益は3,283億円と前年度に比べ1,575億円減(32.4%減)となりました。高速・高精度の5軸加工機、複合加工機、フルターンキーなどの提案が定着し販売粗利益率が改善したこと、人件費の削減に努めたこと、DX(デジタルトランスフォーメーション)の利用などマーケティングの見直しにより、展示会費用などが削減できたこと等により、営業利益は107億円を達成することができ、連結営業利益率は3.3%となりました。金融収支は、主に独DMG MORI AG( 以下、AG)の株式を追加取得したことにより、AGの外部株主への継続的保証の支払額が減少し、前年度に比べ4億円改善しました。一方、一部のグループ会社での赤字計上により実効税率が66.8%と大きく上昇し、親会社の所有者に帰属する当期利益は17億円と前年度比90.3%減となりました。

換算レート(AR) 121.8

連結受注 2,797億円(前年度: 4,094億円)  2,296百万ユーロ  
機械本体の受注残高 960億円(前年度: 1,460億円)  788百万ユーロ  
売上収益 3,283億円(前年度: 4,858億円)  2,695百万ユーロ  
営業利益 107億円(前年度:  373億円)  88百万ユーロ  
営業利益率 3.3%(前年度:    7.7%)  
親会社の所有者に帰属する当期利益 17億円(前年度:  180億円)  14百万ユーロ  

受注動向

連結受注高は2018年の第1四半期にピークを付けた後、米中貿易摩擦により2019年中は減少を続け、2020年3月にCOVID-19が全世界に拡大したことで2020年もさらに落ち込み、2020年度の当社の連結受注高は2,797億円と前年度に比べ31.7%減少しました。受注の国内比率は14%、海外の比率は86%とその構成比は2019年度と同一となりましたが、海外地域別構成には変化があり、欧州の比率が45%(前年度:54%)と低下したのに対し、米州が24%(同:18%)、中国及びアジアが17%(同:14%)とそれぞれ上昇しました。EV(電気自動車)対応のバッテリー、ケミカル関連、駆動系部品の他、医療関連、リニューアブル発電、クリーンエンジン、農業機械、半導体、5Gを含めた通信関連が牽引しつつあります。

売上動向

売上収益は3,283億円と前年度に比べ32.4%減少しました。特に、2020年第2四半期(4-6月期)は、グローバル市場でのロックダウンにより、販売員・サービス員が外出規制・移動規制を受けたことから、出荷や検収の遅延が発生し売上が大きく落ち込みました。当社では、デジタル化を促進し、高画質のビデオ画像を駆使した遠隔でのデジタル立ち会いなども試み、環境変化への対応も進めてきました。その後、徐々に移動規制などは緩和されましたが、未だ完全回復には至っておらず検収の遅延が継続しています。

財務状況

受注高の減少に伴う前受金の減少、独フロンテン工場の能力向上及び生産性改善投資から、フリー・キャッシュフローは52億円の赤字となりました。一方、短期資金から長期資金への振替を目的に、ハイブリッド資本700億円を調達し、株主資本比率は35.2%と2019年12月末の23.6%から大きく上昇しました。また、純有利子負債残高(借入金-現預金及び短期金融資産)は644億円と前年度から111億円減少し、純有利子負債比率(純有利子負債÷株主資本)は35%と前年度の61%から改善しました。

研究開発

研究開発費は、効果測定を厳密に行っていますが、工程集約機、アディティブマニュファクチャリングなどの先端技術の開発促進、自動化、デジタル化は当社の将来成長の源泉であり、必要な投資を継続しています。当該年度は、主な製品としてアディティブマニュファクチャリングにおいて生産性を70%以上高めたLASERTEC 30 DUAL SLM、大型ワーク対応のLASERTEC 6600 DED hybridを市場投入しました。
自動化においては、既に53の製品で標準化を行っていますが、5G技術を用いた自律走行型ロボット(AGV)により設備配置の柔軟性を高め、安全かつ正確な搬送システムの実用化に目途を付けました。また、AI (人工知能)を活用した切りくずの自動洗浄ソリューションの他、株式会社ニコンとの提携の中で、最新のセンシング技術を用いて工作機械上でワークの自動計測を行う「非接触機上計測システム」を開発し、お客様の加工精度と生産性の向上に貢献します。

2021年12月期見通し

工作機械の需要は2020年第2四半期(4-6月期)を底に緩やかに回復してきました。当社の四半期連結受注高も2020年の第2四半期の572億円を底に、第4四半期(10-12月期)には733億円まで増加しました。お客様は、工程集約化、自動化、デジタル化投資への関心を強めており、引合いは非常に多くなってきています。しかし、昨年末ないし今年の初めからCOVID-19の感染が再び増加し、引合いから受注成約までのリードタイムの長期化が続いています。今後、ワクチンの効果の確認が期待される下期からは本格的に受注が増加するものと考えており、2021年度の連結受注高を前年度比36%増の3,800億円と見込んでいます。
一方、売上収益及び営業利益に関しては、それぞれ3,300億円、110億円とほぼ前年度並みを計画しています。前年度末の受注残高が960億円まで減少したことから、今年度は期中受注・期中売上に注力しますが、当社の受注から出荷までのリードタイムが平均的に5カ月程度かかるため、下期からの受注回復が売上に本格的に寄与するのは2022年度以降になる見込みです。2021年度も、コスト管理を厳密に行い、損益分岐点売上高も前年度並みの3,020億円を維持したいと考えています。

一株当たりの配当は、中間10円、期末10円、年度で20円と2020年度と同水準で計画しています。株主還元の基本方針は、フリー・キャッシュフロー及び有利子負債の返済等を勘案した上で、需要の減少局面でも安定配当を維持し、収益拡大局面においては配当性向30%を目途としています。2021年度は需要の回復過程の初期にあり、今後の受注及び収益の見極めが必要であると考えており、現段階では安定配当をベースに昨年度並みを計画しています。

サステナブル(ESG / CSR)経営方針

DMG森精機は社会との共生を重視し、また、全ステークホルダーに満足いただける経営に取り組んでいます。グローバルでの気候変動対応、脱炭素化が大きな課題となっていますが、当社では業界に先駆けて調達から出荷までの全工程(Scope 3の上流工程)までのカーボンニュートラルを実現しました。2021年1月より出荷する全世界の工作機械がカーボンニュートラルとなっています。これらの製品には「CO2 Neutral」のロゴマークが付されて出荷されます。お客様においても、設備購入を含めたサプライチェーンのカーボンニュートラルを目指すこととなり、当社製品はより優位性を確保できるものと確信しています。

また、当社は従業員の生活の質的向上を強化しており、「よく遊び、よく学び、よく働く」を経営理念に掲げ、健康経営に取り組む企業として「DMG森精機 健康経営宣言」を行いました。有給休暇の取得日数は2020年度に一人当たり平均25.9日と前年度から4日増加しました。また、一人当たり年間総労働時間の管理も徹底しており、2020年度の一人当たり総労働時間は平均1,806時間と前年度から204時間減少しました。
ガバナンスにおいては、多様性を重視しており、社外取締役、外国籍取締役、ジェンダーの構成などに注目しています。3月29日の株主総会の承認を経て、社外取締役の構成比は40%、外国籍取締役の構成比は20%、女性取締役の構成比は10%となります。

以上、DMG森精機は、継続的な企業価値向上を進め、全ステークホルダーに満足していただけるよう努力してまいります。

Top